2012年5月28日月曜日

ズニショウ (1) ジムさんの講演


2日遅れの更新になってしまいました。
楽しいことは続き、会話は深夜に及びました。
5月26日土曜日と5月27日の日曜日、
北アリゾナミュージーアムで恒例のズニショウが
開催されました。
11時と12時15分からの2回、
ズニミュージーアム館長のジムさんの講演。
最初はズニミュージーアムでの遺跡出土品等の
データベース作りについて。
ケンブリッジ人類学博物館やコロラドの博物館の
例を出して、展示品の説明のあいまいさや間違いを示し、
世界に散らばるズニの展示品の82%の情報は
正しくないと話します。
ズニミュージーアムではズニ自身が作ったシステムで
発掘品等を見られるとのこと。

古いズニの伝統の中に生きて来たジムさんの
斬新で壮大なアイデアに驚き、感動しました。
ズニに関する正しい情報を伝えていきたい、
もっと世界の人々にズニの文化を知ってほしい。
その熱意が彼のフットワークの良さと弛まぬ努力の
源になっているのでしょう。

ズニにジムさんあり。

人類学にも考古学にも素人の私ですが、
ズニはジムさんのような方がいて、幸せだなあ、
すばらしいなあと単純に感動させられたのでした。


1回目の講演が終わって、奥様のチエさんと、
マーチングバンドの音楽に合わせて
行進してはしゃぐジムさん。
小学校4年生の時にアメリカ人と結婚した日本人の
先生がズニの学校に来て、
それ以来日本の文化に魅せられたというジムさん。
奥様もすてきなかわいい日本人の女性です。


2回目の講演は古いズニの農業技術について。
オーディトリアムで始まり、
その後外に出てのお話。


高橋農園を訪ねて間もない私には
同じ農耕民族であるズニの、ジムさんのお話も
大変興味深いものでした。

雨の少ないズニの土地で作物を作る、
水をどう確保するかという工夫。
例えばリザヴェーション内のメサの崖っぷちに
作られた、雨を集める工夫。
種をまくのにも、雨水が溜りやすい扇状地や
下で水分を保存してくれる粘土層の砂地を探す。

また畑は作物を植えるだけでなく
野に出たら、そこにはうさぎがいて、役に立つ
野草が生えていたりと、目を向けたら
することがいっぱいあるのだと
彼に教えてくれたおばあちゃん。

種をまくのも、春になればどんな鳥が飛んできて、
どんな虫を見たか、
そういうことを体で覚えて最適な時期を知る。

土の中に手を入れて、土の湿りぐあいを感じる。

これはまさに体で<自然を読む>ということです。

日本で忘れ去られようとしているかも知れない教え・・・。
知識は必要だけれど、人類が古来から受け継いできた
「知恵」をもう一度見直さなければ。

ジムさんは昨今のGMO(遺伝子組み換え)の
種についても言及されていました。
私がホピの農業シンポジウムに行った時聞いたのと
同じような問題が起こっていること。
ホピもそうでしたが、ズニもそこで採れた作物の
種の確保と保存も今の重要課題だということ。

もっとよく英語が聴き取れたら・・・、とまたまた
自己嫌悪に陥ってしまいましたが、
私が理解出来た部分だけでも十分に興味深い
ジムさんのお話でした。



長くなりましたが、もう一つ興味深かったのは、
自然農法でとうもろこしを作る70歳の男性が
オーガニックの認証をもらおうとしたけれど、
無農薬、無肥料で育った作物の認定基準の
カテゴリーがないと監査員に言われたというお話。

こんなに立派なとうもろこしに(肥料は)何を
やっているのかときかれて、何にもやってない。
これでは<有機>とは言えないからでしょうか。

ズニで採れたとうもろこしの種、
<無農薬、無施肥>なら私、いっぱい欲しいです!

FDAよ、<自然農法>を知らないのかい?





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