2015年5月18日月曜日

リトルボーイ、戦争を描きながら、でも何と心温まるストーリー









実はアパートの契約更新をしたらもらえた
映画のチケット。
これがなかったら、この映画も見て
いなかったと思います。


だって基本的にハリウッド映画は
見ませんから。

ただのチケットをもらって、さて
映画館では今何を上映しているのか
調べたわけです。

マッドマックス、アヴェンジャーなどの
「大作」の影にこの映画を見つけました。
ストーリーを見たら、戦争に行った父親
を取り戻すために、あらゆることをする
息子の話。
よし、これを見ようと決めました。




監督はアレハンドロ・モンテヴェルデ。

「ベラ」の監督らしいですが、私は全く
知りませんでした。
シナリオも共同で書いています。


ストーリーの前にまず感動するのは、
1940年代のアメリカの町、
ファッション、当時のコミック誌に
いたるまでの再現です。

キッチンの棚に置かれた、花柄の大小中の缶
だとか、ちらっとテーブルの上に見えた
パイレックスらしきガラスのバターケース、
もちろん母親役のエミリー・ワトソン
をはじめとする当時の女性たちのファッション、
<リトルボーイ>の履くコンヴァース、
ニューススタンドに並ぶ
当時のコミック誌、
そして何と言っても当時の丸っこい形の
錆びたトラックや車たち。

何だかそれらを見ているだけで
ちょっとわくわく。


映画は泣いたり、ひやひやしたり、
ハラハラしたり、ショックだったり。

第2次世界大戦中の話です。

そこには日系人への強烈な差別も出て来ます。

広島に原爆が投下されたニュースに
町の住民が歓喜する姿を見て、
映画のシーンとは言え、
やはり複雑な気持ちになってしまいました。

とは言え、この監督は時にアニメや
コミカルなシーンもまじえながら、
シリアスな部分とほっとするシーンを
うまく使い分けています。

映画の中で重要な役割を果たす
日系人「ハシモト」役の日系人俳優
C ・H・タガワさんがすばらしい。


町の差別的な男たちに襲われても
仕返しもしないというシーンにも
ちょっと感動。

日系人役に尾崎英二郎さんや
アキザワケイスケさん
と言った日本人俳優を
使っていらっしゃるのにもちょっと感動。

(何せ、ハリウッドでは日本人役に
アジア系俳優さんが
使われること、多いですから)


そしてとにかく主演の男の子の
演技に圧倒されます。
大声で泣いたりわめいたりするわけではなく、
でも表情が何とも言えない。


モンテヴェルデ監督は
差別や戦争をあるがままに描き、

アメリカと日本、
どちらの肩ももたず、
なおかつ戦争によってもたらされる主人公
の家族の悲劇を映し出します。

戦争をしている国では、どこでも
こういう日常が当たり前だったのだと
認識させてくれます。

差別あり、友情あり、
人間の本質は善なのだと信じさせてくれる
シーンあり。
(リトルボーイのお兄さんに注目してください)




最後にモンテヴェルデ監督が映画の中で

原爆投下の実写フィルムと投下後の
原爆ドーム周辺の写真、
日系人が強制収容所に収容されるニュース映像
などを見せていらっしゃることに
日本人として感謝したい気持ちです。














0 件のコメント:

コメントを投稿