海外の日本食店、2年半で6割増 世界に8万8700店
大畑滋生
2015年8月29日10時00分
農林水産省は28日、海外の日本食レストランの数が今年7月時点で約8万8700店となり、前回調査(2013年1月時点)の約5万5500店から1・6倍に増えたと発表した。
健康的なイメージで、すしや刺し身などが人気を集めている一方、近年は豚骨味など日本式のラーメン店なども広がっているという。13年に「和食」がユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産に選ばれたことも日本食ブームを後押ししたとみられる。
今日の朝日新聞の記事です。
和食がユネスコの無形文化遺産に選ばれていたのですね。
そんなものに選んでくれなくても良かったのに。
それとこの調査結果はあまり関係はないと、私は思うのですが。
世界遺産だとか、無形文化遺産だとか、ミシュランしかり。
世界のレストランを格付けするミシュランもそうだが、世界遺産というものは西洋人の価値基準で世界のすべての国々の遺跡や自然に格付けするもののようになってしまっているからだ。
と藤原新也が最近のcatwalkで書いていますが、ニューメキシコのタオスプエブロと富士山が同列に並んで、世界遺産というのも私にはよくわからない。どっちがどうというのではなくて。
朝日のこの記事に戻りますが、世界各地の在外公館が、現地の電話帳や飲食店サイトなどで「日本食」として載っている店を数えた、ということで、これはおそらく明らかにsushiとかJapanese Foodとカテゴライズされたお店でしょう。
私は、私たち日本人が使う<和食>という言葉で想像されるお料理と、海外で<日本食>と呼ばれるfoodとの間には大きな違いがあるのではないかと常々思っています。
これだけ<sushi>がポピュラーになり、日本食=スシという認識が広がってしまい、アメリカ人は、日本人は家で日常的にスシを食べていると思っています。
よほど日本通で、納豆や冷奴や肉じゃがやおひたしを知っているアメリカ人を除いては。
しかも、ロサンジェルスの数少ない、築地から新鮮な魚を空輸しているようなお店や、オーナーシェフが自ら、魚市場へ買い出しに行くようなお寿司屋さんは別として、たいていはてんぷらなどを巻いたロール(巻物)にうなぎのたれ(らしき)ソースをたっぷりかけたような、アメリカ人好みの、油でギトギトのスシロールばかりがオーダーにのぼるのが実態です。
アメリカに関して言えば、おそらく大都会以外では、オーナーもスシシェフも外国人というお店がかなりの割合を占めているとも思われます。
それでもスシは<日本食>じゃないか、日本食が世界に広まるのはいいことじゃないか、と思われる向きもあるでしょう。
スシを毎日食べるんじゃないの?とアメリカ人に聞かれて、そうじゃないよ、私たちはスシは日常的には食べないの、普段はこんなものを‥‥と説明し始めても、彼らには理解できない食べ物についてわかってもらうのは不可能です。
もちろん私にはフランスなどヨーロッパでの状況はわかりません。
藤原新也がいうところの「西洋人の価値基準で」物事を格付けする。
それってあまりにも傲慢ではないのかとさえ言いたくなります。
自然も、文化も食文化も、長い歴史を経て出来上がったもの。
世界遺産にされなくても、残るものは残り、朽ちるものは朽ちるのです。
世界遺産にされなくても、残るものは残り、朽ちるものは朽ちるのです。
そんなものに登録されたからと、それを有り難がる風潮にも問題があるのではないでしょうか。
見え隠れする観光誘致。
そんな西洋人の画一的な価値基準にに惑わされることなく、自分でいいものはいい、見たいものは見たい、と判断出来る賢明さも必要かも知れません。
私がアリゾナに引っ越す少し前にオープンしたお寿司屋さん。なので、もうかれこれ10年前の話です。
住んでいたアパートから近かったこともあり、引っ越すまでの少しの間、アルバイトをしました。
長年人気のお店でシェフとして働いた方が、念願かなって自分のお店をオープン。
彼はこだわりのお寿司屋さんで、当時は、スパイシーツナロール(マグロをスパイシーなソースで味付けしたものを巻いたもの)や、サーモンスキンロール(サーモンを焼いた皮の部分を巻いたもの)といった、ロサンジェルスでは市民権を得た(笑)ような巻物すら出さない、徹底した日本のお寿司を供するお店でした。
朝早くから、魚市場へ出向き、オープン当初は、私たちサーヴァーのランチは彼の握るお寿司でした。
(何と幸せだったことか‥‥笑)
来るお客さんは数えるほど。
カウンターにすわったお客さんに、ていねいに食べ方を伝授するオーナー。
私は当時、このお店、レストランの名前を変えて「寿司道場」にしたらいいのに、とマジで思ったくらいでした(笑)。
私は当時、このお店、レストランの名前を変えて「寿司道場」にしたらいいのに、とマジで思ったくらいでした(笑)。
来る日も来る日も入るお客さんは数組。
一体、このお店、大丈夫なのかしら。
と思っていたら、数年後に友人から聞いた話。
今は行列が出来るくらい、すごい流行ってるのよ。
何の宣伝もしないで‥‥。
口コミってすごいのですね。
おそらく仕事や観光でも、日本へ行って、本場のお寿司を経験する人も多いロサンジェルスだからこその人気でしょうね。
そんなことも思い出した、今日のこの日本食レストランに関する、朝日新聞の記事でした。
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