2015年11月13日金曜日

嫌いです、チップ制


米国は「チップ制」文化から抜け出せるか


ニューヨークで多くのレストランを経営しているダニー・マイヤーは、最近、自分の店ではチップ制を廃止することを明らかにしたが、その影響力をしっかりと理解している。チップ制というのは、多くの人々の社会生活や経済状況を左右する賃金の二層体系(訳注:固定給と客からもらうチップ)を成り立たせてきた制度である。

 マイヤーの決断は、従業員たちへの透明性とサラリーの公平さを確立するものであり、称賛に値する。チップ制廃止が業界の新しい規範になってほしいが、全米レベルで改革を実現するにはチップ制の労働者を対象にした最低賃金以下の時給規定の改正が必要だ。
ニューヨーク州知事のアンドリュー・M・クオモは9月、同州の最低賃金を時給15ドルに増額する法案に支持を表明した。しかし、彼の提案では、州内約38万人のチップ制労働者への適用は除外される。時給15ドルの法定最賃はすでにファストフード業界では採用されているが、その他のほとんどのレストラン従業員は最賃規定の金額を下回る賃金しかもらえない状態が続くことになる。ニューヨークで働くチップ制労働者の時給は現在、中央値で9.43ドルだ。


 
 

⬆️は一昨日の朝日新聞に載っていた
記事です。

私たちは今住む場所で外食をすること
はめったにありませんし、
それまでも外食ってあまりしなかったです。

旅行とかではやはりその町の
気に入りのレストランとかには行きますし、
当然チップも払います。

よほどサーヴィスが悪かったりした時
以外はわりと多めに、
愛想もよくて、なかなか気がつくサーヴァー
だなと感じたら、けっこう多めに
チップは置くようにしています。

なぜって、彼らの最低賃金が
普通のそれより低いのを知っているからです。


⭐️


このニューヨークタイムズの記事に
よると、
チップのルーツは封建時代のヨーロッパの
貴族の館にあり、19世紀に
ヨーロッパ旅行から帰ったアメリカ人が
自分はヨーロッパのやり方を知っている
ということを見せつけるために
チップ制を導入したのが始まりらしい。

10世紀の末にはチップ制に反対する
運動も起こるが、
(当時はチップが収入源だった職種の
労働者は雇用主から支払われる給料は
なかったのでしょうね)
レストランオーナーや鉄道会社はこれに反対。

当時の労働者はほとんどが「解放奴隷」で、
雇用者たちは彼らに給料を払うのが
嫌だったからだと。

その時代のある作家は書き残しているのだそうです。

白人にチップを払うのは気がひける。
チップは「ニグロ」(現代では黒人の差別用語)
のための制度であるべきだからだ、と。


1938年、ニューディール政策の下、
最適賃金法が制定されたが、
レストランの従業員は除外され、
チップをもらうことを前提とした労働者の
法定最低賃金はゼロだった。


現在、チップ制労働者にも一般労働者と
同じ最低賃金が保障されているのは、
全米で7州だけなのだ、とも。


⭐️


それで調べてみましたよ、その7州を。

カリフォルニア、ネヴァダ、オレゴン、
ワシントン、モンタナ、ミネソタ、
アラスカの7つの州でした。

カリフォルニア($9)、
オレゴン($9.25)、
ワシントン($9.47)
は、最低賃金も高いです。

リベラルな政治が行われている証ですよね。


私も個人的にはチップ制、
好きではありません。

「心づけ」はあくまで受けたサーヴィスが、
サーヴィスされた側の気持ちに響いた時に
渡すものだと思います。

それを予め払うことが制度として決められている
というのは、ちょっと納得いかないシステムです。


ニューヨークタイムズのこの記事に
紹介されているレストランオーナーの決断。

広がって行って欲しいですね。















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