2017年10月10日火曜日

みみずくは黄昏に飛びたつ、読了










今年のノーベル文学賞も決まり、
日本での毎年の村上春樹フィーヴァー?
も終焉しましたが、私はこの
村上春樹へのロングロングインタヴュー
「みみずくは黄昏に飛びたつ」を読み終えて、
やっぱり村上春樹ってすごい、
やっぱり村上春樹は好き
という思いを確たるものにしましたね。


この本の中で彼の言う作家と読者
の「信頼関係」「信用取引」
が私と村上春樹の間で成立している
ということの再認識でした。









この本を読み始めた時にも1度、
彼の言う「善き物語」と「悪しき物語」
についてブログに書いていますが、
今日は終盤のこの話に大いに納得、
同感だとうなずきました。


以下は抜粋です。


村上 ‥‥。でも今のところ、僕が一番「悪であると見なすのは、やはりシステムですね。

川上 村上さんの考える「悪」のイメージは、システム。

村上 もっとはっきり言えば、国家とか社会とか制度とか、そういうソリッドなシステムが避けがたく醸成し、抽出していく「悪」。もちろんすべてのシステムが「悪」だとか、システムの抽出するものがすべて「悪」だとか、そんなことを言ってるわけじゃないですよ。‥‥しかしすべてのものに影があるように、どのような国家にも社会にも「悪」がつきまといます。それは教育システムにも潜んでいるし、宗教システムの中にも潜んでいます。そういう「惡」は実際に多くの人を傷つけているし、死に至らしめることもあります。僕はすごく個人主義的な人間なので、そういうシステムの「悪」みたいなものに対して、センシティブな部分は強くあると思います。




学校でのいじめによる自殺、
会社での過労死や自殺は、
システムの「悪」が人を死に至らしめている
ということに他ならないです。


人生の半分以上をアメリカで過ごす私が
アメリカを生活の場にすることを選んだ
一番の理由は、
日本で感じた息苦しさ、
これに尽きます。


確かにある意味ではひどい国です。


国民にまともな健康保険も用意できない、
1791年に発行された条例をたてに
いまだに銃所持を主張する国民、
そして絶えることのない銃による犯罪と事故。


駐在員でもない私たちは
所属する組織も会社もないので、
バックに何のサポート
も援助もないのはわかりきったこと。


外国で「無所属」で生活するというのは
どこから守られることもない、
きびしいものです。


もちろんこの国にだって、
システムの「悪」が抽出するものは
いくらでもあるでしょう。


それでも長年暮らしているのは
私にとってはこのアメリカ社会の
「息のしやすさ」なのです。


学校、クラスという集団の中での
い心地の悪さ、
ご近所というコミュニティの抽出する「悪」。


そういう「悪」を感じながら
成長した自分には、
日本という社会は、国には
どうしてもなじめなかったのですよね。



とにかく「みみずく」
おもしろく読了しましたよ、
春樹さん。

















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