2010年11月10日水曜日

ホピの友人の死


お昼過ぎに仕事場に電話がありました。
マーカスからでした。
奥さんのRUTHが先週の木曜日に亡くなったと。

上の写真は6月に撮ったもの。
がんは進行していたものの、この時はまだ元気だった。
8月に急に入院してこの時から体にチューブを入れての
栄養補給になりました。
輸血をしたのが確か9月だった・・・。

先週の火曜日に肺炎を起こしたみたいで、
2日後の木曜日の夜7時半に逝ったんだとマーカス。

ホピの人たちは人が亡くなると、すぐに埋葬するのだそうです。
こんなことをこういうブログで書くのも、と思いながら
でもその不思議な一致に驚いて、こうやって文章にしているのですが、
日本でかつてされていた<土葬>で、亡くなった人の足を折り、膝を曲げて
座らせるかたちでお棺に入れる、それと全く同じ態勢にして、
手をヤッカのひもでしばり、
体全体を毛布でくるんで、頭のところをまたヤッカのひもでしばって、
そのまま埋葬するのだそうです。
日本のお墓参りのような習慣はない。
ただ5月のメモリアルデーにお花を供えたりはする。
ということです。

ランチタイムにコインランドリーで洗濯をしていたマーカスと
息子のニールに会いに行きました。
二人とも元気そうで少し安心。
先日お客さんがつけていて撮らせてもらったリングの写真を見せたら、
覚えてる、これは自分のだって。
きれいに撮れた写真を彼に渡して、作ってもらうことにしました。

ジュエリー、作らないとね、と元気付けたら、うん、せっせと作るよ。

そう、いっぱいジュエリーを作ってね、マーカス。
 それがあなたの仕事だから。
それをRUTHも望んでるはず。
55歳で死んじゃった彼女を悼んで、
写真を撮られるのが大嫌いだった彼女がOKして写した
今年の6月のマーカスとRUTHの写真をもう1度ここにのせます・・・。

彼女は決してにこやかな人ではなかったのですが、それは
彼女の照れ隠しというのを見抜いたのは私のつれあいでした。

去年の秋、彼女のホームのサードメサ、ホテヴィラであったバスケットダンスを
見に行った時、彼女のお母さんの家(お母さんはもう亡くなっていませんが)
に招待されました。
ホピの人たちはダンスがあると、母方の実家に集まります。
カチーナダンスは男衆のダンスなので、男性<夫>の実家に皆が
集まりますが、バスケットダンスは女衆のダンスなので、
この日はRUTHの実家に親戚、姻戚、たくさんの人が集まっていて
彼女も忙しく立ち働いていました。

ある時私が彼女にお手洗いに行きたい、とこっそり言いました。
すると彼女はどっちがしたいの?とまるで母親が子供にきくみたいに
私にたずねます。
ここにはね、トイレはないの。
(ホピの、特にプラザを囲む家などにはお手洗いのない家が
たくさんあります)
彼女が私に示したのは台所のすみの薄暗い一角に置いた、
ふたをしたバケツでした。

あの時の情景が今もはっきりと思い出されます。

RUTH、私があげた耳あてつき帽子を髪の毛がなくなった頭に
かぶったら、マーカスがそばで暖かくてちょうどいいねと
笑っていたね。

どうぞやすらかに・・・。



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