2017年2月25日土曜日

アメリカ映画と人間の感情







明日はアカデミー賞。

昨日は、この映画を観に行きました。


それが何なんだと言われればそうなのですが、
外国語映画賞も含め、
今年はアカデミー賞候補の映画を
けっこう観ました。


フラッグスタッフの映画館は古くて、
スクリーンも音響効果も悪い映画館で、
しかも外国映画やインディーの映画
など程遠いラインナップだったので、
映画自体からずいぶん遠ざかっていました。



アルバカーキには映画館も多く、
独立系の映画ばかり上映する映画館
や名画館もあり、
昨年末から映画館に足を運ぶ回数
が増えています。


昨日観たのはロサンジェルスにいた時に
観た、You Can Count On Me
の監督作品です。


これがなかなか良くて、
マーク・ラファロという俳優の名前も
初めて知りました。


今回の映画の主演は、
ベン・アフレックの弟、
ケイシー・アフレックです。

自分のミスで家が火事になり、
子供をなくし、奥さんとも別れた主人公は、
その町を出て、
半地下の一間のアパートに住んで、
ハンディマンの仕事をしています。


そんな彼の実兄が突然亡くなり、
元住んでいた町に戻り、
そこから兄の息子である甥っ子との
物語が始まります。


父親を突然失くしたティーンエイジャー
の息子の表に出せない、
複雑な感情はうまく描かれていた
と思いますが、
全てを失くして殻に閉じこもり、
バーでビールを飲んではケンカを
始めるという主人公には
気持ちはわかるものの、私には
感情移入は出来ません。



✨ ✨ ✨



何年か前に Wild という映画がありました。


母をガンでなくした主人公が、
パシフィッククレストトレールに
挑戦するという実話を元にした映画でしたが、
その中で主人公は、
母親が亡くなったショックで自暴自棄
になり、ドラッグにおぼれるようになります。


それがある時本屋さん(だったか、
小さなマーケットだったか)で見つけた
パシフィククレストトレールの本を読み、
自分も挑戦しようと決めます。


お話は違いますが、
昨年のアメリカ大統領選挙で、
確かNHKが、
トランプ支持者の町を行く
というようなタイトルで、
元工業地帯の町の工場で働いていた弟が
失職して、自暴自棄になり、
ドラッグ中毒になって自殺したという
女性を取材していました。

彼女は弟のために、
こんな町のために何かしてくれそうな
トランプを支持するのだと
強く話していました。


アメリカ人ってそう言っちゃ何ですが、
感情がシンプル、子供っぽいと言うか、
精神的に大人になりきれていない人が多い
ように感じます。

それがいい具合に表出する場合もある
のですが、
やはり感情に奥行きや深みがないと
思えてしかたがありません。


悲しいことがあったり、腹を立てれば、
人をなぐるか
ものを壊す。

アルコールやドラッグに走る。

簡単に自暴自棄になるんですよね。

映画を観ていたらそれは顕著です。


もちろん、
In To The Wild (荒野へ)のクリスのような、
ジャック・ロンドンが好きで、
非常に内省的なアメリカ人も
いるのでしょうが。


でもまあ一般的なアメリカ映画で描かれる
人々の姿がごく普通のアメリカ人のはずです。



✨ ✨ ✨



自分が感情移入出来てじんと来る映画と
映画自体の優劣の評価は
もちろん違いますが、
黒澤明の「赤ひげ」や「生きる」、
チャン・イーモウの初期の作品、
ギリシアのテオ・アンゲロプロス作品は
他にも観たい映画が
たくさんありますが、
私が観たのは「永遠と一日」だけ。



イランのアッバス・キアロスタミ監督の映画は
「黄桃の味」「そして人生は続く」
「オリーヴの林をぬけて」しか観ていませんが、
何度でも観たい映画ですし、
他の作品もぜひ観てみたい。


日常生活を淡々と描く。

悲劇的なことも時にコミカルに。

人生って結局同じことの繰り返し。

あふれる感情をぐっとこらえて、
時を過ごして行く。


例えば恋愛を描いていても、
切ないんですよね、
「初恋のきた道」のチャン・ツィイーの
健気さ。

好きな人にもらったくしを落として
必死でさがす時のあの
切なさ。


イラン映画「バラン(雨)<日本語タイトル
は少女の髪留め>」も
ロサンジェルスで観ましたが、
仕事場で働くアフガン難民の男の子が、
ある日、同じ現場で働く少年が、
女の子だったことを知ります。

これも切なかったなあ。



とまあね、そんな映画が
私は観たい。








































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