濃密な文章で反時代的な私小説を書いた直木賞作家の車谷長吉(くるまたに・ちょうきつ、本名・嘉彦=よしひこ)さんが17日、死去した。
69歳。告別式は行わない。
同日朝、車谷さんが自宅で倒れているのを、妻で詩人の高橋順子さんが発見。病院に搬送されたが、食べ物を喉につまらせており、間もなく死亡した。
兵庫県生まれ。広告代理店勤務後、料理屋の下働きなどをしながら関西各地を転々とし、47歳で刊行した「鹽壺(しおつぼ)の匙(さじ)」で三島由紀夫賞などを受賞。2度の芥川賞候補の後、1998年、人間に絶望した男女の究極の愛を描く「赤目四十八瀧(あかめしじゅうやたき)心中未遂」が直木賞に選ばれ、2003年に映画化された。同作品は伊藤整文学賞にも決まったが、伊藤整とは文学観が違うと受賞を辞退、「反時代的毒虫」と自称するなど、一徹さでも知られた。2001年、「武蔵丸」で川端康成文学賞。
69歳。告別式は行わない。
同日朝、車谷さんが自宅で倒れているのを、妻で詩人の高橋順子さんが発見。病院に搬送されたが、食べ物を喉につまらせており、間もなく死亡した。
兵庫県生まれ。広告代理店勤務後、料理屋の下働きなどをしながら関西各地を転々とし、47歳で刊行した「鹽壺(しおつぼ)の匙(さじ)」で三島由紀夫賞などを受賞。2度の芥川賞候補の後、1998年、人間に絶望した男女の究極の愛を描く「赤目四十八瀧(あかめしじゅうやたき)心中未遂」が直木賞に選ばれ、2003年に映画化された。同作品は伊藤整文学賞にも決まったが、伊藤整とは文学観が違うと受賞を辞退、「反時代的毒虫」と自称するなど、一徹さでも知られた。2001年、「武蔵丸」で川端康成文学賞。
最終更新:5月18日(月)20時18分
車谷長吉さんの「赤目四十八滝心中未遂」は私には衝撃的な小説でした。
私自身が見たことも聞いたこともない世界で淡々と進む、男女の情愛。死に行くことも出来ずに行き着いた場で、男はヤクザの女と出会い、切ない愛を交わし、やがて二人は死への道をさまよい始める。
ストーリーを追いながら、映像が浮かんでしまう小説でした。
この本を読んだ女優の寺島しのぶさんが、「これを映画化する時はぜひ自分をキャスティングしてほしい」と読者カードに書いて送ったものを、たまたま車谷さんが目にして、彼女が綾役に抜擢されたというお話を読みましたが、歌舞伎の名門の家庭に育ったお嬢さんの寺島しのぶさんが、こんな「底辺」の人々を扱った物語を読んでいらしたということに、びっくりし、感心しました。
まだお若いのに、あっけなく亡くなってしまわれた車谷長吉さん。人の命はわからないです‥‥。
ご冥福をお祈りします。
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