2018年3月22日木曜日

優しさとは弱さに敏感なことである









学生時代に出会ったある友人が教えてくれた
太宰の言葉。


「優しさとは弱さに敏感なことである」


この言葉はそれ以降、私の人生訓となり、

太宰のどの作品の中に
この言葉が出て来るのか、
ずっと探したいと思って来ました。



今まで読んだ作品の中からは
見つかっていませんでした。

太宰が好き、と言えるほど太宰を
読んでいない私ですが、
本だけはたっぷり持っています(笑)。


⬆️の写真の文庫本は昨年、
日本で買って来たものです。


太宰には悪いのですが、
手元にあった大好きなポール・オースター
の本を全部読んでしまい、
次に何を読もうかと手に取ったのが
この本でした。



これは太宰の作品からの人生訓的な
言葉や文章を抜粋して集めたもの。


読みやすく、わかりやすいことは
間違いありません。


読み進んでいたら、
<芸術>というカテゴリーの中の
「文化」というタイトルがついた抜粋の中
にあったのがこの文章でした。



「‥‥ 私は優という字を考えます。
これは優れる
(注、すぐれるとルビ←ブログ作者)
という字で、優良可なんていうし、
優勝なんていうけど、でももう一つ
読み方があるでしょう?

優しい(やさしい、とルビ←ブログ作者)
とも読みます。

そうして、この字をよく見ると、
人偏に、憂うると書いています。

人を憂うる、人の淋しさ侘しさ、
つらさに敏感な事、これが優しさであり、
また人間として一番優れていること
ではないかしら。」




ちなみにこの文章は太宰の
昭和21年の書簡からです。



これを読んだのか、あるいは
それについて書かれたものから
彼女なりの言葉にして
私に教えてくれたのか、
知る由もありませんが、
数十年経ってこの言葉の出所

を見つけたことに加えて、
かの友人にいつかもう一度会いたいと

願って生きて来た私には、
この言葉とのとても深く感動した出会いでした。











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