学生時代に出会ったある友人が教えてくれた 太宰の言葉。
「優しさとは弱さに敏感なことである」
この言葉はそれ以降、私の人生訓となり、
太宰のどの作品の中に この言葉が出て来るのか、 ずっと探したいと思って来ました。
今まで読んだ作品の中からは
見つかっていませんでした。
太宰が好き、と言えるほど太宰を 読んでいない私ですが、 本だけはたっぷり持っています(笑)。
⬆️の写真の文庫本は昨年、 日本で買って来たものです。
太宰には悪いのですが、 手元にあった大好きなポール・オースター の本を全部読んでしまい、 次に何を読もうかと手に取ったのが この本でした。
これは太宰の作品からの人生訓的な 言葉や文章を抜粋して集めたもの。
読みやすく、わかりやすいことは 間違いありません。
読み進んでいたら、 <芸術>というカテゴリーの中の 「文化」というタイトルがついた抜粋の中 にあったのがこの文章でした。
「‥‥ 私は優という字を考えます。 これは優れる (注、すぐれるとルビ←ブログ作者) という字で、優良可なんていうし、 優勝なんていうけど、でももう一つ 読み方があるでしょう?
優しい(やさしい、とルビ←ブログ作者) とも読みます。
そうして、この字をよく見ると、 人偏に、憂うると書いています。
人を憂うる、人の淋しさ侘しさ、 つらさに敏感な事、これが優しさであり、 また人間として一番優れていること ではないかしら。」
ちなみにこの文章は太宰の 昭和21年の書簡からです。
これを読んだのか、あるいは それについて書かれたものから 彼女なりの言葉にして 私に教えてくれたのか、 知る由もありませんが、 数十年経ってこの言葉の出所
を見つけたことに加えて、 かの友人にいつかもう一度会いたいと
願って生きて来た私には、
この言葉とのとても深く感動した出会いでした。
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