2019年1月13日日曜日

ブラッド・メリディアン、読了








コーマック・マッカーシー
「ブラッド・メリディアン」読了。


この小説はアメリカでは「修正主義西部劇」
と分類されると最後の訳者あとがき
に書かれています。


「修正主義西部劇」というのは、
いわゆる勧善懲悪的なヒーローや正義漢
が活躍するのではなく、
人間の弱さや悪、あるいは開拓時代の社会的矛盾
やインディアン虐殺の実情を直視する
西部小説や西部劇映画のこと
と説明されています。

だって人間って本来こんなに残虐なことができる動物
なのだとあらためて認識させられる内容。

いい人はほとんど出てこないんですから。


ストーリーは史実を題材に作られているわけで、
歴史の事実として本などで読んではいるけれど、
白人が行ったインディアンに対する、
ここまでの残虐行為にはただもう
圧倒されます。


コーマック・マッカーシーを読むのは
初めてですが、彼のヴィジュアルを喚起させる文章、
表現には思わず情景が浮かびます。


舞台はアメリカ西南部、メキシコ北部で、
アリゾナに10年住んだ私には、
出てくる景色(砂漠、岩など)、
生えているサボテンや木の名前、
アパッチやサン・フェリペ、ユマなどの
ネイティヴのトライブ名称など、
どれもが身近で、どんどん読み進められました。


翻訳を読んだだけでも、難解そうな文章だと
わかる作者のスタイル。


読み終えて、英語の原書を手に入れて
読み比べてみたいと強く思います。


黒原敏行さんの翻訳も素晴らしいです。


コーマック・マッカーシー、
もっと読んでみたいですね。







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